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家づくりについて住宅性能を示す「HEAT20 G2」とは。断熱のレベルや期待できるメリットは?

快適な住まいをつくるために重視したいのが、断熱性能についてです。高断熱な住宅は、一年にわたって快適な住環境を実現できるほか、光熱費の削減にもつながります。

住宅の断熱性能を表す基準に「HEAT20」があり、なかでも「G2グレード」ではZEHを上回る高い断熱基準が設定されています。これから家づくりを始める方は、「HEAT20 G2」がどれくらいの断熱レベルなのか、知っておくことがポイントです。

今回は、「HEAT20 G2」に注目して、住宅の断熱レベルや基準をクリアする住宅を建てるメリットについて解説します。

HEAT20 G2とは

HEAT20とは「一般社団法人20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称です。元々は団体を指す言葉でしたが、最近では、「HEAT20が定める高断熱住宅の性能」を意味するものとして使われることが増えてきました。

HEAT20では、区分された7つの地域に対して、各地域の気候に適した住まいの断熱性能について推奨基準を定めています。また、住宅性能を評価するG1・G2・G3という3段階のグレードがあり、それぞれ異なるUA値(※1)の基準(目安)が設定され、室温やエネルギーといった指標を満たすことを目的としています。

UA値は小さいほど断熱性能が高く、温暖な地域よりも寒冷な地域のほうが基準値は小さく設定されています。奈良県は5地域・6地域が主となります。

HEAT20の基準UA値

地域区分 1 2 3 4 5 6 7 8
G1 0.34 0.34 0.38 0.46 0.48 0.56 0.56
G2 0.28 0.28 0.28 0.34 0.34 0.46 0.46
G3 0.20 0.20 0.20 0.23 0.23 0.26 0.26

※8地域は暖房期がない温暖な地域

G2グレードでは、国が定める「平成28年省エネ基準」や「ZEH水準」よりもさらに高い断熱性能が要求されており、住宅性能表示制度における断熱性能等級の「等級6」に相当するレベルに当たります。(※2)

※1.外皮平均熱貫流率を意味し、住宅の外皮(屋根、壁、床、窓など)を通じた熱の逃げやすさを示す。
※2.断熱等性能等級の地域区分とHEAT20の地域区分が同じでもUA値が完全に一致するとは限りません。

出典:HEAT20『冬期の性能水準の提案

HEAT20 G2グレードの特徴

HEAT20 G2グレードの家には、主に5つの特徴があります。

高性能な断熱材の採用

HEAT20 G2では、地域ごとに設定されたUA値を満たすことが求められます。壁・天井・床などの外皮の性能を高めるための断熱材が使用されます。

高性能な断熱材として一般的なものに以下が挙げられます。

高性能な断熱材

  • 硬質ウレタンフォーム
  • 押出法ポリスチレンフォーム など

また、断熱材については十分な厚みで隙間なく埋める施工技術も求められます。

窓の断熱化

住宅の窓は、熱の出入りがもっとも大きい場所です。HEAT20 G2のUA値を満たすためには、窓のサッシやガラスについても断熱性能を高めることが求められます。

熱が伝わりにくいサッシやガラス

  • 樹脂サッシ
  • Low-E複層ガラス
  • トリプルガラス(3層ガラス)
  • 真空ガラス

熱が伝わりにくいサッシとガラスを組み合わせることで窓の断熱性能が高まり、冷暖房の使用シーズンにおいても快適な室内環境を維持できます。

冬期の室温維持

HEAT20で重視されている指標の一つが、冬期における室温です。

「冬期最低室温」と「暖房室温15℃未満の面積比割合」の2つの指標が設定されており、外気温が低い時期でも、一定以上の室温を維持できることが求められます。

G2における室温基準

 地域区分 1 2 3 4 5 6 7 8
  居室連続暖房 LDK平日連続暖房、他は部分間歇 部分間歇暖房
冬期最低室温 概ね15℃を下回らない 概ね13℃を下回らない
暖房室温15℃未満の面積比割合 2%程度 8%程度 約15%程度 10%程度

冬期最低室温は暖房していない部屋の表面結露を防ぐ「住まいの健康」を主な目的とし、1・2地域以外ではだいたい13℃を保つことを意味しています。また暖房室温は、「住宅内部で15℃未満になる時間・面積が全体のどれくらいあるか」を示し、奈良県で主となる5・6地域では10%程度と設定されています。

温度のむらを小さくすることで、結露の抑制やヒートショックの防止につながります。

出典:HEAT20『冬期の性能水準の提案

暖房負荷の削減

暖房負荷とは、暖房を使用するときに一定温度に保つために暖房設備が供給する熱量のことです。寒い環境において「暖房がどれだけのパワーで動く必要があるか」を表しています。

HEAT20では、平成28年省エネ基準をベースとして「どれくらい暖房負荷の削減効果がありそうか」といった削減率の目安が示されています。

暖房負荷の削減率の目安

 地域区分 1 2 3 4 5 6 7 8
  居室連続暖房 LDK平日連続暖房、他は部分間歇 部分間歇暖房
平成28年基準からの削減率 約35% 約40% 約50% 約60% 約55%
暖房室温15℃未満の面積比割合 約25% 約20% 平成28年レベルと概ね同等のエネルギーで全館連続暖房が可能

奈良の5・6地域では、平成28年省エネ基準から暖房負荷を約60~55%削減できる効果がありそうだということが分かります。また、全館連続暖房は導入するには基本的に高価なものとなるため、取り入れるかどうかを考える指標となるのですが、4~7地域においての目安は平成28年基準と同等=省エネ効果は際立ててないということなので、快適性など何を重視するのかによって導入をするかどうか検討することができます。

出典:HEAT20『冬期の性能水準の提案

気密性能の確保

断熱性能とセットで考えなければならないのが、気密性能についてです。高断熱な家をつくるには、隙間をなくして室内の熱を逃がさないようにすることが重要です。

明記はされていないのですが、HEAT20 G2では、室温やエネルギー負荷のことを考えると隙間の少なさを示す「C値(※)」を高める施工が求められます。

C値を高める施工方法の例

  • 気密テープやシーリング材による隙間処理
  • 樹脂サッシの採用

※「相当隙間面積」といわれ、住宅全体にどれほどの隙間があるかを示す。C値が低いほど隙間が少なく、気密性が高いことになる。

HEAT20 G2をクリアする住宅を建てるメリット

HEAT20 G2の基準をクリアする住宅には、快適性の向上や光熱費の削減などのさまざまなメリットがあります。

1年中快適な室内環境になる

HEAT20 G2の基準を満たし、日射遮蔽などを適切に行っている高気密・高断熱な住宅は、1年を通して室内環境が快適に保たれます。「夏は涼しく、冬は暖かい家」で暮らすことができます。

また、部屋ごとの温度差を小さくすることで、冬場に起こりやすいヒートショックのリスクを抑えられるため、家族の健康を守ることにもつながります。

光熱費を削減できる

光熱費を削減できることもメリットの一つです。

断熱性能が不十分な住宅では、外気温が住宅内部に伝わったり、冷暖房の空気が外部に逃げたりするため、エアコンなどの冷暖房設備が常にフルパワーで稼働しなければなりません。

HEAT20 G2をクリアする高断熱な住宅の場合、壁・床・天井・窓といった外皮を通じて熱が伝わりにくくなります。外気温の影響が小さくなることで、冷暖房による電力消費が抑えられ、結果的に光熱費の削減につながります。

結露を防ぎやすい

高断熱・高気密な家は、窓の結露対策にも効果的です。

結露は、室内外の温度差によって生じます。窓の断熱・気密性能を高めることで、窓や壁の表面が冷えにくくなり、結露の発生を抑えることができます。

結露による湿気は、建材を傷める原因となるほか、カビやダニの発生にもつながることから、住まいと家族の健康を守るためにも高断熱化・高気密化が重要といえます。

国の補助金制度が利用できる

HEAT20 G2の住宅は、国が定める省エネ基準やZEH水準を上回る断熱レベルとなります。

HEAT20に対する補助金制度はありませんが、「ZEH」や「長期優良住宅」に関する補助金制度を活用できる可能性が高くなります。自分たちの家が補助金の対象になるかどうか、建築を依頼する施工会社に確認しておくことが大切です。

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マルマインハウスは「HEAT20 G2」が標準

マルマインハウスの注文住宅は、ハイレベルな断熱基準となるHEAT20 G2グレードを標準(※)としています。国の基準を上回る高い断熱性能を確保しているため、一年を通して快適な室温を保つことができ、ご家族の健康な暮らしを実現します。

「高断熱住宅はどれくらいのコストがかかるの?」「どんな省エネ設備があるの?」など、家づくりに関する疑問や質問がありましたら、お気軽にご相談ください。

(※)地域区分6の場合におけるHEAT20 G2グレードとなっています。

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