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お金に関して注文住宅を建てる際の「手付金」とは。一般的な相場はどれくらい?
注文住宅を建てるときに支払う費用の一つに“手付金”があります。
土地の売買契約や建築工事請負契約を交わすときに、取引金額の一部についてまとまった金額を支払う必要があるため、相場や支払いのタイミングを理解しておくことが大切です。
これから家づくりを始めるご家族のなかには「手付金はどれくらい必要なの?」「住宅ローンに組み込むことはできる?」など気になる方もいるのではないでしょうか。
今回は、注文住宅を建てるときに支払う手付金とは何か、一般的な相場や支払いのタイミング、注意点とともに解説します。
注文住宅を建てる際にかかる手付金とは
不動産取引において支払う「手付金」とは、売買契約や工事請負契約において契約の成立を担保するための費用です。買主・売主の双方が契約内容に同意しており、契約を成立させる意思があることを示す目的があります。
この手付金の授受に関しては、契約の解除に関するルールが定められています。
▼手付金の授受を行ったあとに契約解除を行える条件
契約解除を申し出る人 | 契約解除を行える条件 |
---|---|
買主 | 支払った手付金を放棄する |
売主 | 受領した手付金の倍額を買主に支払う |
例えば、ハウスメーカーや工務店と工事請負契約を締結して手付金を支払ったあとに、施主側が「やっぱりキャンセルしたい」となった際には、手付金を放棄することで理由を問わずに契約を解除することが可能です。
このように契約の当事者間で手付金のやり取りを行うことで、不動産取引の契約を安易に解除できないようにして信頼性を担保しています。
なお、手付金として支払う金額は、最終的な取引金額の一部に当たります。問題なく契約が履行されると、買主(施主)が支払った手付金は取引金額に充当される仕組みとなります。
手付金の一般的な相場
注文住宅を建てるときに支払う手付金は、契約の当事者間の合意によって定められます。一般的には、売買価格・工事価格の5〜10%が相場とされています。
▼建物の工事価格に対する手付金の金額相場
工事価格 | 手付金の金額相場(5〜10%) |
---|---|
2,000万円 | 100万〜200万円 |
3,000万円 | 150万~300万円 |
4,000万円 | 200万~400万円 |
なお、売買契約の売主が不動産会社(宅地建物取引事業者)となる場合には「宅地建物取引業法」が適用されます。宅地建物取引業法第39条では、物件価格の20%を超える手付金を設定することはできないと定められています。
(手付の額の制限等)
第三十九条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
引用:e-Gov法令検索『宅地建物取引業法 第39条第1項』
手付金の支払いが発生するタイミング
注文住宅を建てるときに手付金を支払うタイミングは、一般的に2回あります。
▼手付金を支払うタイミング
- 土地の売買契約
- 住宅を建築するときの工事請負契約
①土地を購入するときの売買契約
家を建てる土地を購入する際は、売買契約時に売主に対して手付金を支払います。
書面の契約締結時に手付金として取引金額の一部を支払い、最終的な土地の引き渡し時に、「取引金額から手付金を差し引いた残代金」を売主に支払う仕組みとなります。
▼土地を購入するときの基本的な流れ
- 土地の購入申込み
- 売主との売買契約の締結(手付金の支払い)
- 土地の引き渡し(残代金の支払い)
②住宅を建築するときの工事請負契約
住宅の建築をハウスメーカーや工務店に依頼する際には、工事請負契約を締結します。
手付金は、工事請負契約を締結するときに支払います。残代金については、着工時・上棟時・引き渡し時などに分割して支払うことが一般的です。
▼住宅を建築するときの基本的な流れ
- 建築を依頼するハウスメーカー・工務店の選定
- 住宅建築プランの策定
- 新築住宅の工事請負契約の締結(手付金の支払い)
- 着工(着工金の支払い)
- 上棟(中間金あるいは上棟金の支払い)
- 建物の引き渡し(残代金の支払い)
ただし、支払いのタイミングや金額の割合については、契約するハウスメーカーや工務店によって異なります。トラブルを避けるために、事前に確認しておくことが重要です。
手付金に関するよくある疑問。注意しておくことは?
手付金の支払いに関するよくある疑問には、以下が挙げられます。
【疑問1】「手付金は住宅ローンに組み込めるのか」
【疑問2】「手付金を支払ったあとに住宅ローンの審査に落ちたらどうなるのか」
ここからは、これらの疑問についての回答をお伝えします。
【疑問1の答え】 手付金は必ず「現金」で支払う必要がある
手付金は、住宅ローンに組み込むことはできません。契約の締結時に必ず「現金」で支払う必要があります(手渡しまたは口座振込)。
近年では、土地や建物といった本体の取引金額だけでなく、不動産仲介手数料・登記費用・司法書士への報酬などのさまざまな諸費用を含めてフルローンを組むケースが主流となりつつあります。
しかし、手付金はあくまで契約の成立を担保するための費用です。引き渡しが行われて住宅ローンの融資が実行される前の段階で、手付金の授受を行う必要があります。
【疑問2の答え】住宅ローンの特約が定められている
住宅ローンを利用して土地や建物を購入する場合には、「金融機関の審査が通らなかった際に契約を白紙解除する(手付金は返還される)」といった特約を定めることが一般的です。この規定は「住宅ローン特約」「融資利用特約」などと呼ばれます。
ただし、売買契約書や建築請負契約書の内容は多岐にわたり、法律に関する専門的な用語が用いられるため、「住宅ローン特約はどうなっているのか」「手付金はどうなるのか」といった理解が難しい可能性があります。
疑問や不安が残る場合には、契約を締結する前に住宅ローン特約が付いているかよく確認しておくことが欠かせません。
トラブル防止のために手付金の仕組みを理解しておこう
注文住宅を建てるときには、土地・建物代のほかにもさまざまな費用が発生します。
手付金は、土地の売買契約と建物の工事請負契約を締結する際に支払いのタイミングが発生します。取引金額の5~10%にあたる手付金を現金で準備しておく必要があるため、手元にある資金を踏まえて計画的に家づくりを進めることが大切です。
また、思わぬトラブルを避けるために、手付金をはじめ注文住宅に関する諸費用についてもシミュレーションを行い、自分たちの貯蓄・収入に応じて「住宅ローンの借入額」や「頭金の金額」などを設定することが欠かせません。
マルマインハウスでは、家づくりに関する資金計画をトータルサポートいたします。「自分たちの予算で大丈夫なのか」「無理のない住宅ローンの借入額はどれくらいか」など、お金に関する疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
なお、家を建てる前に読みたい基礎知識をまとめた資料を用意しております。ぜひご活用ください。
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2024.12.19