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家づくりについて住宅性能表示制度とは?新築住宅における10の評価項目と基準を知っておこう

注文住宅の建築について調べていると、「住宅性能表示制度」「住宅性能評価書」などの言葉を目にすることがあるのではないでしょうか。

一般の消費者にとって、住宅性能の良し悪しを判断することは決して簡単なことではありません。注文住宅を立てるときに「住宅性能表示制度の基準を満たすかどうか」を確認することで、安全に設計・建築された住宅であると判断できるようになります。

そこで今回は、住宅機能表示制度の概要と、基準を満たす住宅を取得するメリット、具体的な評価基準について解説します。

なお、注文住宅を建てるときにチェックしておくべき住宅性能については、こちらの記事をご覧ください。

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住宅性能表示制度とは

住宅性能表示制度は、2000年4月1日に施行された『品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)』に基づいて同年10月に運用が開始された制度です。

安全で良質な住宅を消費者が安心して購入できるようにすることを目的としており、住宅性能に関する評価基準や手続きなどのルールが定められています。

住宅性能の評価は、第三者機関(登録住宅性能評価機関)が行い、その結果が「住宅性能評価書」として交付されます。

▼住宅性能表示制度による評価の流れ

画像引用元:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド』

評価機関から交付される住宅性能評価書には、「設計図書の段階における評価」と、「施工・完成段階の検査による評価」の2種類が存在します。それぞれ法律に基づくマークが表示される仕組みとなります。

▼住宅性能評価書の種類

画像引用元:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド』

建設住宅性能評価書が交付された住宅については、住宅に関する何らかのトラブルが発生した際に、国土交通大臣が指定する機関で円滑・迅速に紛争を処理することが可能です。

出典:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度ガイド』
出典:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド』

住宅性能評価を受けた住宅を取得するメリット

住宅性能評価を受けた住宅は、次世代にわたって安心して暮らせるだけでなく、住宅ローンや税金などについて優遇が受けられる場合があります。

▼住宅性能評価を受けた住宅のメリット

  • フラット35など住宅ローンの金利引き下げ
  • 耐震等級に応じた地震保険料の割引
  • 贈与税に対する非課税枠の拡大
  • 長期優良住宅の認定手続きの簡素化 など

なお、住宅ローン減税や長期優良住宅についてはこちらの記事で解説しています。

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出典:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド』

新築住宅における評価項目と基準

新築住宅では、10分野・33項目について評価基準が設定されています。

▼新築住宅の評価項目の10分野

  1. 構造の安定に関すること(※)
  2. 火災時の安全に関すること
  3. 劣化の軽減に関すること(※)
  4. 維持管理・更新への配慮に関すること(※)
  5. 温熱環境・エネルギー消費量に関すること(※)
  6. 空気環境に関すること
  7. 光・視環境に関すること
  8. 音環境に関すること
  9. 高齢者等への配慮に関すること
  10. 防犯に関すること

※必須項目

上記のうち4分野・10項目においては基準を満たすことが必須とされています。
以下では、新築戸建住宅に関する住宅性能評価の項目をご紹介します。

出典:国土交通省『新築住宅の住宅性能表示制度かんたんガイド』
出典:国土交通省『住宅性能表示制度における性能表示事項(必須/選択項目の範囲)が見直されました。』

1.構造の安定に関すること

構造の安定に関する項目では、住宅の柱・梁・壁・基礎などの構造躯体における強さを評価します。地震や暴風、積雪などによって建物が受ける影響の度合いについて、段階的な評価基準が設けられています。

▼構造の安定に関する評価項目

項目 評価基準
耐震等級 構造躯体の倒壊等防止(※) 地震に対する構造躯体の倒壊・崩壊のしにくさを1~3の等級で評価
構造躯体の損傷防止 地震に対する構造躯体の損傷の生じにくさを1~3の等級で評価
その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)(※) 免震の建築物か否かを評価
耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 暴風による構造躯体の倒壊・崩壊および損傷の生じにくさを1~2の等級で評価
耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 屋根への積雪による構造躯体の倒壊・損傷の生じにくさを1~2の等級で評価
地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法(※) 常時作用する荷重に対する地盤・杭の耐力とその根拠となる算出方法を評価
基礎の構造方法及び形式等(※) 直接基礎の構造・形式や、杭基礎の杭種・杭径・杭長を評価

住宅性能評価の取得における必須項目

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2.火災時の安全に関すること

火災が発生した際に安全を確保するための避難対策と、建物や隣家への延焼を防止するための対策について評価が行われます。一戸建て住宅についての評価項目は、以下の4つです。

▼火災時の安全に関する評価項目(一戸建て住宅の場合)

項目 評価基準
感知警報装置設置等級(自住戸火災時) 自宅で発生した火災における早期の覚知のしやすさを1~4の等級で評価
脱出対策(火災時)(☆) 火災が発生して通常の歩行経路が使用できない場合に、緊急脱出ができる対策の有無・内容を評価
耐火等級(延焼のおそれのある部分) 開口部 延焼のおそれのある部分の火災による火炎を遮る時間の長さ(分)を1~3の等級で評価
開口部以外 延焼のおそれのある部分の外壁などの火災による火炎を遮る時間の長さ(分)を1~4の等級で評価

地下階数が3以上の戸建て

耐火等級については、火炎による延焼を遮る時間が60分以上の場合に、開口部・開口部以外のいずれも最高等級の評価が受けられます。

3.劣化の軽減に関すること

住宅の建築に用いられる木材や鋼材などは、時間の経過によって劣化します。3つ目の項目では、材料に対して劣化の進行を遅らせる対策がどの程度行われているかが評価されます。

▼劣化の軽減に関する評価項目

項目 評価基準
劣化対策等級(構造躯体等)(※) 大規模改修工事を必要とするまでの期間を伸ばすために必要な対策の程度を1~3の等級で評価

住宅性能評価の取得における必須項目

木造では、外壁や土台に対する防腐・防蟻、基礎の高さ、床下の防湿・換気などの劣化対策がチェックされます。鉄筋コンクリート造では、セメントの種類・品質や鉄筋の錆を防ぐ対策などがチェックされます。

最高等級となる等級3では、大規模な改修工事を必要とする期間が75~90年となり、3世代にわたって安全に住まえる耐久性があることになります。

4.維持管理・更新への配慮に関すること

住宅の給排水管やガス管は目に見えない部分になることが多いため、維持管理のしやすさを考慮していないと点検・修理などに支障をきたす可能性があります。

4つ目の項目では、給排水管・給湯管・ガス管の3つにおいて、点検や清掃、補修のしやすさなどが評価されます。

▼維持管理・更新への配慮に関する評価項目(一戸建て住宅の場合)

項目 評価基準
維持管理対策等級(専用配管)(※) 給排水管・給湯管・ガス管の清掃や点検、補修を容易にするために必要な対策の程度を1~3つの等級で評価

住宅性能評価の取得における必須項目

配管をコンクリートに埋め込まないことや、点検・清掃のための開口が設けられていることなどが評価の対象となります。

5.温熱環境・エネルギー消費量に関すること

夏は涼しく、冬は暖かい快適な室内環境をつくるには、住宅の構造躯体に対して断熱対策を講じることが重要です。また、冷暖房・換気・給湯・照明などの設備における省エネルギー対策も求められています。

この項目は、2022年10月より住宅性能評価の取得における必須項目となりました。

▼温熱環境・エネルギー消費量に関する評価項目

項目 評価基準
断熱等性能等級(※) 室内外における熱の出入り(UA値)や日射熱の入りやすさ(ηAC値)などを1~7の等級で評価
一次エネルギー消費量等級(※) 一次エネルギー消費量を削減するための対策の程度を1・4~6の等級で評価

住宅性能評価の取得における必須項目

等級が高くなるほど、断熱性や省エネ性能が高い住宅であることを表します。また、一次エネルギー消費量の等級6では、基本の省エネ基準と比較して20%の消費量を削減できるとされています。

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6.空気環境に関すること

住宅内の空気には、ほこりや水蒸気、二酸化炭素などのさまざまな化学物質が含まれており、健康への影響が指摘されているものもあります。

6つ目の項目では、住宅内に含まれる化学物質の濃度を低減する対策をどの程度講じられているかが評価されます。

▼空気環境に関する評価項目

項目 評価基準
ホルムアルデヒド対策 内装及び天井裏等 内装の仕上げ、天井裏等の下地材などからのホルムアルデヒド発散量を抑えるための対策を評価
ホルムアルデヒド発散等級 特定建材からのホルムアルデヒド発散量の少なさを内装・天井裏ごとに1~3または2・3の等級で評価
換気対策 必要換気量(0.5回/時間)を確保できる機械換気設備の有無と、換気上重要とされるトイレ・浴室・台所の機械換気設備や窓の有無を表示
室内空気中の化学物質の濃度等 空気中における化学物質の濃度および測定方法を表示

7.光・視環境に関すること

窓や扉などの開口部は、室内での作業に必要な明るさを確保するうえで重要な要素となります。また、日照・採光・通風は、物理的な効果だけでなく、開放感や安らぎなどの心理的効果もあるとされます。

7つ目の項目では、主に居室において開口部の面積や位置についての配慮が評価されます。

▼光・視環境に関する評価項目

項目 評価基準
単純開口率 居室・寝室などの採光のニーズが高い部屋において、開口部の大小を床面積の比率(%)で評価
方位別開口比 東西南北と真上にある開口部の面積について、各方位毎の比率(%)を表示

単純開口率の数値が高いほど、日光を取り入れやすい住宅といえます。方位別開口比については、どの方角から多くの採光を確保できるかを確認できます。

8.音環境に関すること

騒音は、生活のなかでストレスを感じやすくなります。一戸建て住宅では、住宅の窓に対する遮音性を高める対策の程度が評価されます。

▼音環境に関する評価項目(一戸建て住宅の場合)

項目 評価基準
透過損失等級(外壁開口部) 居室の外壁に設けられた開口部の方位別のサッシにおいて、空気伝搬音を遮断する程度を1~3等級で評価

空気伝搬音の遮断性が特に優れているとされる等級3では、日本工業規格のRm (1/3)-25相当以上が確保されていることになります。

9.高齢者等への配慮に関すること

加齢や怪我によって室内での移動が負担に感じられたり、車いすや介助が必要なスペースが確保されていないと困ることがあります。

9つ目の項目では、高齢者に配慮した住宅となっているか、移動時における安全性の確保や介助のしやすさなどの程度が評価されます。

▼高齢者等への配慮に関する評価項目(専用部分)

項目 評価基準
高齢者等配慮対策等級 移動時の安全性 寝室と同一階にある居室や出入口の段差、階段の蹴込み・勾配、手すりの状況などを踏まえて1~5等級で評価
介助のしやすさ 通路幅や浴室・居室の出入口の幅、浴室・トイレの広さなどを3段階で評価(※)

3~5等級から適用

玄関から居室内部までどの程度バリアフリー化ができているかを判断できます。

10.防犯に関すること

住宅への侵入による犯罪を防ぐには、すべての開口部で侵入防止対策を行うことが重要です。一戸建て住宅では、「住戸の出入口」や「地面・バルコニーから侵入できるとされる開口部」、「それ以外の開口部」に分けて、対策の有無が評価されます。

▼防犯に関する評価項目

項目 評価基準
開口部の侵入防止対策 住戸の出入口 2つ以上の鍵の装着や、雨戸・シャッターなどの建具の設置有無を評価
地面またはバルコニーから一定以下の高さ等に該当する開口部 侵入防止機能を有するサッシ・ガラスの使用や、雨戸・シャッターなどの建具の設置有無を評価
それ以外の開口部 侵入防止機能を有するガラスの使用や、雨戸・シャッターなどの建具の設置有無を評価

なお、国土交通省や警察庁、民間団体などが共催する「防犯性能試験」に合格した建物部品には、「CPマーク」が付与されています。

家族の安心・安全な暮らしのために知っておきたい住宅性能表示制度

「住宅性能表示制度」では、家族が安心して良質な住宅に暮らすために確認しておきたい住宅性能の評価基準が設けられています。

注文住宅を建てる際には、住宅性能表示制度で設けられた項目・評価基準を踏まえて、自分たちが希望する対策の程度や適合する等級などを分かりやすく整理できるようになります。

また、住宅性能評価を受けることによって住宅ローンや税金などについて優遇措置が受けられる場合もあります。次世代にわたって安心して暮らせる住まいづくりを実現してみてはいかがでしょうか。

マルマインハウスでは、お客さまの安心・安全な生活を支える住まいづくりをお手伝いいたします。ご家族さまのニーズや予算を踏まえながら、高性能で快適な住宅設計を行います。

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2024.11.21

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