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家づくりについて省エネ性能を高める「窓の断熱」とは?メリットや表示マークについて解説
気候変動をはじめとする地球環境問題が世界的な重要課題となるなか、日本政府は温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げました。
住宅・建築物においてはCO2排出量が全体の約3分の1を占めており、環境への負荷低減に向けた省エネ性能の向上が求められています。
なかでも新築住宅を建てるときの省エネ施策の一つとして「窓の断熱化」が挙げられます。
2024年4月からは住宅設計・販売事業者などを対象に「省エネ性能表示制度」が開始されており、断熱性能についても指標が設けられています。これからマイホームを建てる方は、窓の断熱性能について確認しておくことが大切です。
そこで今回は、窓の断熱性と省エネの関係性や、断熱性能を高めるメリット、省エネ性能表示制度における表示マークについて解説します。
出典:国土交通省『建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度事業者向け概要資料』
窓の断熱性能と省エネについて
住宅の省エネ性能を高めるために、窓の断熱性能は重要なポイントとなります。
断熱性能とは、建物の内外における「熱の逃げにくさ」「日射熱の入りにくさ」を指します。断熱性能が高い住宅ほど、冬の暖房時に暖かい空気が逃げにくく、夏の冷房時に外の熱が室内に侵入しにくくなり、少ないエネルギー効率で空調設備を利用できるようになります。
▼住宅の内外における熱移動のイメージ
なかでも窓は、熱の出入りが大きい場所となります。冬の暖房時に室外に逃げ出す熱の約6割、夏の冷房時に室内に侵入する熱の約7割は窓をはじめとする開口部となっています。
窓の断熱性能を高めることは、住宅の省エネ性能を高めることにつながります。
出典:国土交通省『省エネ性能向上のための窓の性能表示制度』
出典:国土交通省『省エネ性能表示制度 事業者向け概要資料』
出典:経済産業省『住宅による省エネ』
窓の断熱性能を高めるメリット
窓の断熱性能を高めることで、住まいの快適性や経済面にもメリットがあります。
メリット①冷暖房費の削減
窓の断熱性能を高めると、住宅の内外における熱の出入りを抑えられるようになり、冷暖房機器の稼働効率が高まります。すると、冷暖房によるエネルギー消費量を抑えることができ、冷暖房費の削減につながります。
また、冬は暖かく・夏は涼しい室内環境を実現できることから、冷暖房の使用時間・頻度を抑えられることも期待できます。
メリット②ヒートショックの防止
窓の断熱は、「ヒートショック」を防ぐうえでも重要といえます。
ヒートショックとは、室温の高い部屋から低い部屋に入ったときの急激な温度差によって血圧が変動することで、心肺機能に異常を引き起こす健康リスクです。
厚生労働省の『人口動態調査』によると、11月~4月の冬季にかけて高齢者における入浴中の不慮の事故が多く発生しており、近年では交通事故による死亡者数を上回っています。その原因として、浴室・脱衣所の温度差による血圧の急激な変化が挙げられています。
▼ヒートショックが起こりやすい状態
画像引用元:政府広報オンライン『交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!
脱衣所には暖房設備がないことも多く、窓を経由して熱が外に逃げやすいことから冷え込みやすくなります。窓の断熱性能を高めて住宅内の温度差を抑えることで、心臓や血管への負担を少なくして健康で安全な暮らしにつながります。
出典:国土交通省『省エネ性能向上のための窓の性能表示制度』
出典:政府広報オンライン『交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!』
メリット③結露の防止
窓の断熱性能を高めると、結露の防止効果も期待できます。
冬場に外気温が低くなると、窓ガラスに結露が発生しやすくなります。これは室内の暖かい空気の中に含まれている水蒸気が、外の冷たい空気で冷やされた窓に触れ冷やされて水滴となるため。結露は木材を劣化させるほか、カビ・ダニを増殖させる原因にもなります。
窓の断熱性能を高めると外気温の影響を受けにくくなり、窓と室内の温度差が少なくなるため、結露の発生を抑えてカビ・ダニによる健康への影響を防ぐことが可能です。
省エネ性能表示制度における窓の断熱性能指標
省エネ性能表示制度では、住宅の断熱性能を2つの指標で示しています。
▼住宅の断熱性能
指標 | 意味 |
---|---|
外皮平均熱貫流率(UA値) | 窓・壁・床などから室外に熱が伝わる程度(W/㎡・K)。この値が小さいほど断熱性能が高くなる。 |
日射熱取得率(ηAC値) | 日射熱が室内に入る割合(%)。この値が小さいほど遮熱効果が高く断熱性能が高くなる。 |
窓の性能表示制度では、これらの指標に基づいて2種類の表示が行われます。
➀窓の断熱性能の表示
画像引用元:国土交通省『省エネ性能向上のための窓の性能表示制度』
窓の断熱性能表示では、6つの星マークで評価が示されます。星の数が多いほど断熱性能が高く、☆3つ以上の窓を採用することでZEH(※)を達成できる可能性があります。窓ガラスとサッシの組み合わせによって表示マークの評価が決まります。
▼窓の断熱性能表示の評価区分
画像引用元:国土交通省『省エネ性能向上のための窓の性能表示制度』
なお、住宅の断熱性能は、全国の気候条件を考慮して8つの地域に区分されており、それぞれ基準値が設定されています。
※ZEH(Net Zero Energy House)とは、年間の一次エネルギー消費量をゼロにすることを目指した住宅。
②日射熱取得率の表示
画像引用元:国土交通省『省エネ性能向上のための窓の性能表示制度』
窓の日射熱取得率は、外からの日射の取り入れやすさの程度によって区分されており、3つのマークで表示されます。断熱性能と同様に、窓ガラスとサッシの組み合わせによって表示マークが決まります。
▼窓の日射熱取得率の評価区分
画像引用元:国土交通省『省エネ性能向上のための窓の性能表示制度』
ただし、窓には日射を遮るだけでなく、「日射を取り入れて冬場に暖かさを得る」といった役割もあります。季節ごとの窓の役割を踏まえたうえで、省エネ性や快適性なども考慮して製品を選ぶことがポイントです。
そのため、窓ガラスやサッシに加えて、すだれ・庇・ブラインドなどを設置して日射の調整を行う工夫も必要といえます。
窓の断熱もマルマインハウスにお任せください
住宅の窓は、採光・換気・展望といった機能を持つだけでなく、省エネ性能にも深く関係しています。窓の断熱性能を高めることは、冷暖房費の削減をはじめ、ヒートショックの防止、結露の防止といったメリットがあります。
これから家づくりを始める方は、住宅性能表示制度で定められた窓の「断熱性能表示マーク」と「日射熱取得率の表示マーク」の指標を参考にして、省エネな製品を選定することが望まれます。
マルマインハウスでは、快適かつ健康な暮らしの実現に向けて、断熱性能をはじめ気密性・耐震性などの高い水準を満たした高品質な住まいづくりに取り組んでおります。ご要望やご予算も考慮しつつ、一年を通して心地よく過ごせる住環境を実現します。
詳しくは、こちらをご確認ください。
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2025.01.09