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お金に関してオーバーローンって何?フルローンとの違いや知っておきたい注意点

マイホームを建てるにあたって「自己資金がまだ十分でないけれど、マイホームは買えるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

土地の購入や住宅の建築には、本体価格に加えてさまざまな諸費用が発生します。諸費用を自己資金で用意することが難しい人には、“オーバーローン”を組むという選択があります。

今回は、オーバーローンの意味やフルローンとの違い、借入時の注意点などについて分かりやすく解説します。これから注文住宅を検討される方はぜひ参考にしてください。

オーバーローンとは

オーバーローンとは、土地・住宅の価格よりも住宅ローンの借入額または残債が上回る状態を指します。例えば、以下のようなケースが挙げられます。

▼オーバーローンの例

  1. 3,000万円の住宅を購入するときに諸費用も含めて3,200万円を借り入れる
  2. 土地や住宅の売却価格が3,000万円で、住宅ローン残債が3,500万残っている

上記の1は、新たに土地や住宅を購入するケースです。近年では、住宅価格に諸費用を上乗せした金額を借入額の上限としている金融機関が増えており、「諸費用を支払う資金を用意できない」「今ある貯蓄を切り崩したくない」といった場合に利用されます。

上記の2については、住宅ローンの返済が残っている住宅を売却するケースに当たります。住宅の売却価格が住宅ローン残債を上回る場合はオーバーローンとなり、完済しなければ売却ができなくなります。住宅ローン残債がある状態で新居を購入する場合には、「住み替えローン」の利用を検討します。

今回の記事では、1のケースについて解説します。

関連記事
住み替えローンとは。契約の仕組みやメリット・デメリットを知ろう

フルローンとの違い

オーバーローンと混同されやすい借り入れ方に「フルローン」があります。フルローンとは、土地や住宅の価格と同額を借り入れることを指します。

▼フルローンの例

3,000万円の住宅を購入する際に住宅ローンで3,000万円を借り入れる

かつては土地や住宅を購入する際に、購入金額の1~2割ほどの頭金を入れて、住宅ローンの借入額を購入金額よりも低くする(アンダーローン)ことが一般的でした。

最近では、最初に頭金として購入金額の一部を支払うことなく、購入金額の同額を借り入れるケースが主流となりつつあります。まとまった自己資金を用意することが難しい若い世代も、自分たちのマイホームを購入しやすくなっています。

オーバーローンの対象となる諸費用

オーバーローンとして上乗せできる借入額は、基本的に土地・住宅の購入に関連する費用のみとなります。別の用途で住宅ローンの借入金を使用することは認められていません。

一般的に住宅ローンに含めることができる諸費用には、以下が挙げられます。

▼オーバーローンの対象となる諸費用

  • 金融機関への事務手数料
  • 住宅ローンの保証料
  • 不動産会社への仲介手数料
  • 契約書の印紙代
  • 火災保険料・地震保険料
  • 登記費用
  • 司法書士への報酬
  • 水道分担金 など

対象となる費用については、金融機関や住宅ローン商品によって異なる場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。

オーバーローンを組むメリット

オーバーローンを組むと当然ながらフルローンと比較して借入額が増えますが、諸費用分の資金を貯めるまで待つことなく住宅ローンを組むことができます。

これによってさまざまなメリットがあります。

▼メリット

  • 資金不足による土地や住宅の買い逃しを防げる
  • 返済期間を長く設定して毎月の返済額を抑えられる
  • 働き盛りの若いうちに返済を始められる など

フルローンの場合、諸費用分のお金を手元に用意する必要があるため、貯蓄がない場合には気に入った土地や住宅が見つかっても購入することができません。諸費用分を組み込んで借りられるオーバーローンを利用すると、このような買い逃しを防ぐことが可能です。

また、住宅ローンには完済年齢が設定されており、75歳~80歳に設定している金融機関が一般的です。オーバーローンの利用によって貯蓄を貯める期間を短縮して借入時期を早めると、住宅ローンの返済期間を長く設定できます。同じ借入額でも、返済期間を長くすることで毎月の返済額を抑えることが可能です。

さらに、働き盛りのうちに住宅ローンの返済を始めると完済年齢を早められるため、定年後の家計にゆとりをもたせられる安心感があります。

関連記事
何歳までに家を建てる?住宅ローンを利用する人の年齢と返済負担率住宅ローンの完済年齢を定年後(60歳以上)にする場合の注意点

オーバーローンを組むと頭金は必要ない?

オーバーローンを組むと、諸費用分を自己資金で支払うことなく土地・住宅を購入できるようになります。

ただし、不動産の売買契約や工事請負契約では、「手付金」の支払いが求められることが一般的です。手付金は、契約の成立を担保するために買主が売主に預ける金銭を指し、不動産の購入価格や契約金額の一部として扱われます。

オーバーローンを利用する場合でも、手付金は現金での支払いが求められるため、事前に契約内容を確認して手元に現金を用意しておく必要があります。

▼手付金の仕組み(不動産売買契約の場合)

項目 概要
支払う相手 売買契約の売主
支払いのタイミング 契約時または契約当日までの期間
金額の相場 売買価格の5~10%
支払後の契約解除 ・買主側からの契約解除:支払った手付金を放棄する
・売主側からの契約解除:受領した倍額を買主へ支払う

手付金を支払うタイミングは法令による決まりはなく、売主によって期限が設定されるケースが通常です。支払った手付金は、購入金額に充当されるため、実質的に「頭金」として扱われることもあります。

関連記事
注文住宅を建てる際の「手付金」とは。一般的な相場はどれくらい?

知っておきたい!オーバーローンの注意点

オーバーローンは、諸費用を頭金として支払うことなくマイホームを購入できるメリットがあります。一方で、トータルの借入額が増えることによる注意点もあります。

審査が厳しくなる

住宅ローンでは、金融機関において契約者の収入や返済能力に応じて借入可能額の上限が設定されます。オーバーローンを組むと借入額が大きくなることから、「契約者が本当に返済できるかどうか」といった審査がフルローンよりも厳しくなりやすいと考えられます。

金利が高くなる場合がある

オーバーローンを組む場合、金利が高く設定される場合もあります。金利が高くなると総返済額にも影響するため、長期的な返済を視野に入れて検討することが重要です。

返済の負担が大きくなる

諸費用を含めて住宅ローンを借り入れると、毎月の返済額が増えて家計の負担につながる可能性があります。借入当初は無理なく返済ができていても、子どもの教育費が増えたり、転職や産休・育休で収入が減少したりする場合も考えられます。オーバーローンを組む際は、ライフステージの変化を見据えた借入プランの検討が必要です。

将来も安心して暮らせる住宅ローンの返済計画が重要

土地や住宅の購入価格よりも多く借り入れるオーバーローンは、

「自己資金で諸費用を支払うことが難しい」
「ライフイベントを見据えて貯蓄を切り崩したくない」

という方に適しています。

ただし、借入額が増えると金融機関の審査が厳しくなりやすいほか、返済の負担が大きくなって家計が窮屈になってしまうことも考えられます。

住宅ローンの借入計画を立てる際は、ライフステージの変化に伴って必要になる費用や収入の変動リスク、定年後を見据えた貯蓄などを総合的に考えて、無理のない返済プランを立てることが大切です。

マルマインハウスでは、ご予算に応じて家族構成やライフプランなどを踏まえた資金計画をご提案いたします。「自分たちに適した予算はどれくらい?」「住宅ローンはどのように選べばよいの?」などのギモンをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

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